大阪府医師会報に弊社代表 山本の寄稿文が掲載されました
大阪府医師会より「識者の眼」と言うコーナーへタイトルや内容は自由での寄稿文の依頼をいただき、
デザイン業界の問題点やクライアントへ提供できる付加価値の可能性、組織のあり方について弊社代表より
「デザインがビジネスに及ぼす影響とデザイン業界」と言うタイトルで提供させて頂きました。
トータルブランディングでお世話になっている社会医療法人 寿楽会 大野記念病院 大野良興様から推薦頂いた様です。
以下記事内容です。
弊社は大阪に本社を構えるデザイン会社で、今年の11月に創業88年を迎えます。昭和11年11月11日に母方の祖父が東京府東京市深川区(現在の東京都江東区)で創業し何度かの業態変革を経て現在に至ります。
デザインとは、美しさや使いやすさを伝えるために創意工夫した成果で、図案や設計、造形、構想などに置き換えることができます。イギリスでは平成24年にデザインがもたらす付加価値を数値化し、デザイン投資を行った企業は4倍の利益、株価は約2倍の成長をもたらしたという研究結果が出ています。
日本でも平成30年に経済産業省と特許庁が合同で「デザイン経営」宣言を発表し、ブランド力の向上とイノベーションを実現するにはデザインが必要だと宣言しています。
デザイナーには主に紙媒体をデザインするグラフィックデザイナーや身にまとうものをデザインするファッションデザイナー、工業製品をデザインするプロダクトデザイナーなどジャンルや内容によって様々なデザイナーがいます。
弊社はグラフィックデザインやウェブデザイン、CGデザイン、映像制作などをメインに手掛けるデザイン会社で「クリエイティブによってビジネスの品質を高めること」をパーパスとしています。
平成30年の経済産業省の調査によると、全国でデザインを生業にする事業所約7,300の内、東京と大阪に50%以上が集中し、東京圏と大阪圏まで広げると65%にもなります。また1事業所の平均従業員数は4人で、小規模な事務所が大都市に集中していることがわかります。まだ日本ではデザインがビジネスに及ぼす影響が認識されず地方では成り立ちにくい職業なのです。
小規事業所が多い主な理由は、転職や独立が容易に始められることと、組織に対するコミットメントよりも仕事(職種)へのコミットメントの方が強いことがあります。後者に関しては医療従事者も同じ傾向にあるのではないでしょうか。
デザイン業界の大きな問題はデザイナーが持続可能な職業でなくなりつつあることです。これは日本の製品やサービスに顧客価値をもたらす人材が減っている日本全体の問題でもあるのです。
先述の通り、資格不要なデザイナーは参入障壁が低く独立も容易、人材の引き抜きやクライアントを抱えての転職(離職) は当たり前のようにあります。しかしフリーランスになれば決まってクライアントから「これまでと同じ仕事を発注するから安くして」と依頼されます。近視眼的に見ると発注者側は安価に発注でき、デザイナーは自宅にて1人でやればPCなどだけで設備投資も少なく人件費も不要なのでWIN=WINの様にも見えます。しかし40~50歳代になり子供にお金の掛かる世代になると再び安定を求めるようになり求人の門を叩く人が増えてきます。
デザインの世界は流行り廃りが激しく、そういうデザイナーのポートフォリオ(作品集/デザイン業界では必須)は、特定のクライアントとの強い関係性で独立し依存的になったことで、技術とセンスが陳腐化し技術的にも一昔前のものが多くなる傾向があります。また、独立の際に発注をくれたクライアントとの関係も永遠ではなく、営業経験もないデザイナーが新たなクライアントの開拓は難しく、年齢的にも再就職が難しい現状です。
またクライアント目線で考えると、本来もっと付加価値が付く製品やサービスのチャンスを失っているのです。身近な出来事では、以前に依頼したデザイナーと連絡が取れなくなったりすることが頻繁に起こります。弊社への依頼でも、サイトをリニューアルしたくても前回依頼した事務所と連絡がつかず、FTP情報(サーバーへの接続するために必要な情報)を聞いてもその業者が持ったまま倒産など日常茶飯事です。
一体この構造は誰が幸せなのだろうかと考えていた頃に、経営品質という制度(経営品質賞などを選定している経産省直下の協議会)を知り、デザイン会社である以上、この問題は解決しなければと思い取り組みました。
当事者意識を持ってもらうため、社員全員で泊りがけの合宿を行い、コロナ渦中の2年を除き現在も続けています。最初に取り組んだのは、自社の歴史を振り返り自分達が大事にしてきたことを見つめ直し、組織の存在意義を再定義することでした。私達が創造するデザインによってクライアントのビジネス品質(=付加価値)を高める。それを永続的に実現するには属人的な仕事への取り組み方ではなく、組織での取り組み方やパーパス経営へのシフトも必要でした。そして人間的な成長を高めるために、古くからのクライアントや一緒に働く仲間への感謝、それらを改めて社員とともに社是である「感謝」をキーワードに、会社の経営方針をデザインし直しました。
改めて感じたことは、経営もデザインだということです。
顧客本位・サステナブルな視点で「ありたい姿」を「見える化」し、クリエイティブ業界では難しいとされている組織的な業務の運営、顧客との長期的なパートナーを目指して経営設計図を作成したことが評価され、令和3年には「デザイン認証」をデザイン業では初めて取得しました。授賞式では医療機関も受賞されており、医療業界も経営の品質を重視しているのだと感じています。
世の中の人工物にデザインされていない物はありません。これを機に自分で選んだ商品や気になった物などが、どのようなストーリーでデザインされたか、ほんの少しでも思い馳せていただければと思います。
アコーダー株式会社 代表取締役社長
一般財団法人 大阪デザインセンター 理事
山本 眞也
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